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今日(4月27日)は朝早く、バーミンガムからバスでロンドンに向かい、ヒースローからアムステルゲムに飛ぶという移動日でした。着いたその足で、ネザーランド・フィルが催してくれた歓迎パーティに臨みました。会場は、昔株式取引場だったものを改築して、ネザーランド・フイルが根拠地にしている、歴史の重さシャープなモダンが素敵にミックスされた、羨ましい限りの健物です。
5年前の日本フィル・アムステルダム公演時、指揮者だった小林研一郎氏が当時ネザーランド・フィルの指揮者を兼任していたのが縁で、歓迎会を開いてくれたのがそもそもの始まりです。その後のネザーランド・フィル日本公演時には、我々が彼らを招くという、オーケストラ同士ではめずらしい友好関係ができ、今日の再会となったわけです。「久しぶり」と喜び合う中でも、良い関係を続けようようという声がたくさんきかれました。音楽家のパーティの強みで、いろいろな出し物があり、両方の打楽器奏者が総出で、楽器を何も持たず、拍手、足踏み、胸を叩き、服をこすり、奇声を上げ、飛び上がって終わるという、エンターテインメント性に富んだ曲を披露してくれ、やんやの拍手を受けていました。中でも楽しかったのは、15人位のビッグバンドの演奏で、驚いた事にヴィオラ奏者がトロンボーンを吹いたり、テユーバ奏者がサックスを、という具合に専門とは違う楽器を担当しながら、ちゃんとしたビッグバンドサウンドが響いているのです。訊いてみると、楽器がいくつもできるのはそんなに珍しいことではなさそうで、そんな所にもヨーロッパの人々と音楽のつながりの深さ、歴史の重みを感じさせられました。(大川内弘/コンサートマスター)

 

客席はほぼ満席。吉松「鳥たちの時代」とラロ「スペイン公響曲」では、楽章ごとに拍手が起こり「お客さんは本当に楽しみのために来ている」と感じました。ファリャ「三角帽子」の演奏が終わると、「ワーツ!」と歓声があがり。気がつくとほとんどのお客さんが立ち上がって盛んに拍手をしていました。大変善んでくれたようでした。(山田智子/ヴィオラ)

 

【4月29日/ミュンヘン】
古い石造りの建物の目立つミュンヘンも、ロンドン、アムステルダムを経て到着した我々には、いくらか、近代的な印象を与えてくれます。ドイツでも有数の大都市ミュンヘンで我々はヨーロパで4回目のステージを迎えました。文化芸術のレヴェルの高いこの地で高い評価を得ることは非常に難しいと、言われています。
実際、コンサートのメイン・プログラム「三角帽子」が終わると、すぐに席を立つ人もありました、しかし残ってくれたお客様の方は、実に熱狂的な反応で、盛んにアンコールを要求してくれます。メイン・プログラム終了後帰ってしまうお客が多いのは、この地ではさほどめずらしい光景ではなく、むしろ残ったお客の、この反応の方が、我々の演奏の受け入れられ方をよく表しているという事で、このミュンヘン公演はまず“成功”というマエストロ広上の判断でした。
(星野究/トランペット)
【ミュンヘン評】広上/ガヴリーロフ 派手な喝采
体格とバンチカからいうと、その男は日本のナポレオンといった印象を与える。ずんぐりした体つき、エネルギーの塊のような入物が指揮者用の譜面台に、立ち、音楽的にどれほど自由奔放な度の過ざた事でも、どうやら疲れを知らないそのテクニックとリ

 

 

 

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